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2007/12/21

奇跡

安易に使ってしまう言葉だった.
冗談めかして言うこともある.
そして奇跡など起きないと思った.

全てのことを受け入れて生きる.
そして生きつづける事の貴さ.
命の重さを実感する.
自分には伝えることが出来るだろうか.


C26


「カラオケ 歌っちゃったんです」
受話器の向こうで
穏やかに微笑む彼女を想像する.
正直、本当に本人なのかと疑うほどだった.

初めてお会いしたとき、
だれかれ憚ることなく泣き
〝死んでしまいたい〟と何度も訴えた.

彼女はリウマチに苦しみ、
五年の歳月を難病という宣告のもとに
不安と苦痛のなかで過ごしてきた.

病はひたひたと心まで蝕んでゆく.
どん底まで落ちた心の
エネルギーを引き上げるには、
相当の覚悟が必要だと感じた.

四肢の関節が曲がらない.
杖がなければ歩けない.
炎症を起こし腫れ上がってしまった節々は、
僅かに動くだけで悲鳴をあげる.

寝返りさえ打てず、
ことある事に〝もう歩けないの?〟
という不安に襲われた.
唯一の支えは
ご主人の献身的な
看護だったという.


あれから一年.
穏やかに話し始めた彼女がそこに居た.

「自分で髪を洗うことができるんですよ」
あたり前の日常がある.
それが出来る喜びは、
こうした出来事で実感するものだと知らされた.
本当に嬉しそうに話して下さった.

勿論、難病だから完治はしていない.
それでも実に前向きな心持が伝わってきた.
病気と上手く折り合いをつける.
その方法を彼女なりに見つけたのだと思った.
相談し合える仲間の存在も大きいという.

まだまだ闘病生活は続くだろう.
受け皿があるかないか.
その差は大きい.

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