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2005/04/01

上げて下げて

「・・・左腕を出して下さい」
そう言い残して彼女は仕切り用の
薄っぺらなカーテンへと消えた.
響きのいい、透き通るような声だった.

簡易ベッドにひとり残されて思案する.
思いつくままにカーテンの隙間から左腕を伸ばした.

「・・・普通に出してくださいね」

普通とは?なんですの?
仕方がないからニョキッと伸ばした腕を上げてみる.
・・・反応なし

ちょっと上げたり下げたり?なのか.
何だか奇妙な病院に来ちゃったなあ.
その内あたりが付くだろうと期待して、
何度も腕を上下に動かす怪しい人となりました.
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kafun2

花粉症だと診断され、
初めて吸引器なるものを使った.
耳鼻科とは縁がなかったから、
見るもの触るもの、全てに興味津々.

さて、二つの穴から霧?湯気?が出ている.
そいつが吸引器だった.
赤いランプが消えるまで鼻から吸い込んで口から出す.

〝ちょっと間抜けな感じだなあ・・・〟
と思った瞬間、看護士さんと目が合った.
・・・弱ったなあ・・・いやいや・・・
真剣に取り組まねばなりません.
うすっぺらな顔して吸引に励む・・・

その後は簡易ベッドでトンチキな運動を繰り返した.
そりゃ、可笑しかろう.笑っちゃうよねえ.

看護士さんは、
今にも吹き出しそうな顔をして言ったものです.

「注射しますから.左腕.出・し・て・ね・・・」

あわわ.のわ.
袖をまくって腕を出すのか!ごもっとも・・・
カーテンの隙間から腕を出してどうする、自分・・・

慌てて腕を引っ込めた.
目の前には注射器を持った先生が立っている.
花粉症の治療に注射があるとはなあ.
吸引器さん、ごめんよう.

冷静になって考えますに、
先生から最初に言われたような気もするのでした.
その注射の痛いこと.
心中お察し頂ければ幸い.

追記:二日後には薬が切れるんです.
あの看護士さん、覚えてるよなあ.

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